み使いのたたえ歌う 聖歌129 | “What Child Is This?”
「それを見たとき、羊飼いたちは、この幼子につい て告げられたことを知らせた」 (ルカ2:17)
この聖歌は、世界中の多くの人々に広く愛されています。イエス様の誕生を描いたこの聖歌の中に「羊飼いたちの拝むは誰ぞ」という問いがあります。この疑問を誰よりも抱いていたのは、イエス様の誕生に立ち会った人々でしょう。質素な飼い葉おけの中を覗き込みながら、彼らが「この子どもは一体誰だろう」とお互いに囁きあっている様子が、容易に目に浮かびますね。
このような「むさき馬小屋」に生まれた赤ちゃんが、真に約束の救い主であると言われても、彼らには全く理解できなかったでしょう。
この救い主の誕生以来、人間は何世紀にもわたって、キリストの真の姿ー完全に神であると同時に完全に人間であるという事実ーについて、ずっと悩んできました。イエス様が救い主であるということは、神聖なる信仰を通してのみ理解できることです。イエス様が誰であるかという問いへの答えは、この聖歌の中で「ああ、そは神の御子」と繰り返し、雄たけびのごとく歌われています。
思慮にとんだこの聖歌の作詞者は、ウィリアム・ディクスです。聖歌や讃美歌は、聖職者の手によって作られることが一般的であった中で、ディクスは一般信徒の聖歌作者として素晴らしい作品を残しています。スコットランドのグラスゴーで、保険のセールスマンとして成功を収めていたディクスですが、29歳の時に突然病魔に襲われます。
重篤な病気のために長期療養を余儀なくされ、うつ病も深刻になっていきました。その中で、彼は「新たに、そして本当の意味で神にお会いし」て、癒されていきます。この時の経験から、芸術性の高い、有名な聖歌や讃美歌が多く生まれ、その中に「御使いのたたえ歌う」もありました。
この聖歌は、ディクスが1865年頃、クリスマスについて書いた「飼い葉おけの王位」というタイトルの詩を元にそれを短くしたものとなっています。そして伝統的なイギリス民謡である「グリーン・スリーブズ」の調べに彼の歌詞をのせて、この美しい聖歌が完成したのでした。
峯岸麻子
マタイ2:1-12、ルカ1:26-28、2:6-20参照
Taken from [Amazing Grace]
© Copyright Kenneth Osbeck,
Published by Kregel Publications, Grand Rapids, MI
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