「音楽を通して福音を伝える①」 #5

2021年12月30日

宇都宮に転居してしばらく経った頃、教会の牧師夫人からあるボランティアのお誘いを受けました。それは病院の緩和ケア病棟で音楽を演奏する働きで、彼女は毎週そこでギターの弾き歌いをされていました。

それまで病院とも、ましてや緩和ケアのような特別な病棟には全く縁がなかった私だったので、そこで演奏をする事にどのような意味があるのか…不勉強な状態ながら、自分に出来る事だったら喜んで!という思いで、毎週病棟に通って歌をお届けする流れとなりました。

日本の公共施設は規制が厳しい所が多く、宗教的な音楽はNGと言われてしまう事も多々あるのですが、その病棟は医長もクリスチャンでいらした為、賛美歌大歓迎!とばかりに喜んで受け入れて下さり、私も病室の患者さんやご家族を思って祈りながら賛美を捧げる事が出来ました。

元気な患者さんからはリクエストも頂く事がよくあり、昭和歌謡にコテコテの演歌、軍歌などなど…耳にした事もない曲をその場で対応するのは骨が折れ、初めの頃は「知らない曲なのでごめんなさい」とお断りするばかりだったのですが・・・ある時、リクエスト頂いた曲を調べて練習し、次の週に持参した折にはもうその患者さんにはお聴かせ出来なかった・・という経験をしました。

以来、病棟での出会いが本当に一期一会である事、またその機会も主が与えて下さっているご計画の中にある事、私はこの出会いで福音を伝える為に遣わされている1人なのだという強い自覚を持つようになりました。

音楽は人を癒やします。そこに主が働いて下さいます。苦しそうにしていた方の顔が音楽を聴いて和らいだり、疲れ果てている方が音楽を聴いて涙を自由に流す事が出来たり…毎回その奇跡を目の前で体験する事は、どんな理屈も超えた主の臨在と癒やしを実感する時間でもありました。

例え歌っているのが賛美でなくとも、話す内容が聖書の御言葉でなくとも、伝え手が主に委ねて愛を流し出す時、万能の主はいかようにもそれらを用いて働いて下さいます。

(次回に続く)

黒澤倫子



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