「わが主を十字架の」新聖歌226番 | “And Can It Be That I Should Gain”

And Can it be That I should Gain

「イエス・キリストは私たちを愛して、
その血によって私たちを罪から解き放ち、」(黙示1:5)

カルバリの丘で示された「驚くばかりの愛」。この賛美の歌詞で表されている驚きと畏怖の念を持たずに、その愛について考えることのできる人がいるでしょうか?1738年5月20日、アルターズゲイトにおいて、ウェスレーは「心温まる」神への回心を経験します。それからほどなくして、贖いという神の偉大な計画に対する感謝を込めた崇拝を歌うこの賛美が生まれ、以来、最も感動的かつ人々に愛される賛美のひとつとして、200年間歌い継がれてきました。

若い時から厳しい聖書の教えを受け、オックスフォードで神学を学び、ジョージア州の新植民地で宣教師として仕えたウェスレーでしたが、彼の心や人生には喜びも平安もありませんでした。アメリカでの期待外れの経験を終えロンドンに戻った彼は、アルターズゲイトホールでモラビア教徒の一団に出会い、「救いは信仰のみによる」ということに気づきます。5月20日の日記にはこのように書かれています。

「夜中に、自らをキリストに捧げた私は、寝ても覚めても自分は安全であるという確信を得た。脈々と流れる、すべての誘惑に打ち勝つキリストの力が私にはある。そして、私ができる以上の、思う以上の、私をはるかに超えたことをキリストが成されたことを、喜びと驚きをもって、ここに記す」

歓喜あふれる霊的経験の中で、ウェスレーは燃え上がる思いと共にこの新しい讃美歌を書き上げました。その後、兄のジョンと一緒に乗馬の旅でイギリス中を40万キロほど巡る中、彼らの後について来た人々が、ウェスレーの賛美を歌いながら行う野外礼拝には4万人もの人が集ったと言います。

ウェスレーの中で新しい霊的な経験や思考が生まれるたびに、新しい賛美が生まれました。死を迎えるベッドの中でも、彼は自分が深く愛し心から仕えた主への賛美の歌を作り、妻に書きとらせたのでした。

峯岸麻子

ローマ5:8、コロサイ1:12―14、へブル9:11、12、
Ⅰペテロ1:18、黙示5:9参照
Taken from [Amazing Grace] ©Copyright
Kenneth Osbeck,
Published by Kregel Publications, Grand Rapids, MI
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