「もろびとこぞりて」 賛美歌 112 | “Joy to the World”

2021年12月30日


Joy to the World! (もろびとこぞりて)NCM2 CHOIR feat. Lynn Kurosawa

「御使いは彼らに言った。「恐れることはありません。今、私はこの民全体のためのすばらしい喜びを知らせに来たのです。」   ルカ2:10

『もろびとこぞりて』は、クリスマスをテーマにした賛美歌の中でも、特に喜びに満ち溢れたものと言えます。この賛美の歌詞には羊飼いも、御使いたちの賛美の歌声も、博士たちも含まれていません。時に恭しく描かれる御子の誕生ですが、ここにあるのはそうした荘厳さではなく、人類に救い主の誕生が持たされたという喜び、それこそ天にも昇るような喜びの思いです。

何世紀にもわたり、人々は神が個人的に自らを掲示してくださることを熱望してきました。そしてついに「ことばは人となって私たちの間に住まわれ」という御言葉が実現したのです。神様は私たちに新しい、そして素晴らしい贈り物をくださいました。

この贈り物によって、罪を持つ私たち人間が、永遠の命を持てるようになったのです。この事実を深く考えるとき、私たちは待望節の毎日を、ただただ喜んで過ごすべきだとは思いませんか?

『もろびとこぞりて』の詞は、選民に対するヤハウェの守り、そして彼らの神が地球全体の神となられることへの期待を喜ぶ詩篇98篇の終盤を要約したものです。

作詞者のワッツは、詩篇98篇を新約聖書的視点から捉えて、この詞を書きました。人間の救いが始まるのは、アダムによる堕罪の呪いを取り除く運命を背負った人間として神がベツレヘムで生まれるところから。この点に重点を置いて、詞は展開していきます。

この詞が世に出たのは、1719年。ワッツの賛美集の中に収められ、当初は『メサイヤの到来、メサイヤの御国』というタイトルでした。

また、曲に関しては、アメリカ人教会音楽家のロウエル・メイソンが、ジョージ・フレドリック・ヘンデルの有名な聖譚曲『メサイヤ』(1742年初演)から翻案したものと考えられています。

18世紀、イギリスに生まれた天才的文学者とドイツに生まれた音楽の大家、そして19世紀、アメリカに生まれた聖歌隊指揮者の才能がひとつとなり、この素晴らしい賛美歌が誕生したのです。

峯岸麻子

創世記3:17、18、詩篇98、ローマ5:20、21参照