宇都宮に転居してしばらく経った頃、教会の牧師夫人からあるボランティアのお誘いを受けました。それは病院の緩和ケア病棟で音楽を演奏する働きで、彼女は毎週そこでギターの弾き歌いをされていました。

それまで病院とも、ましてや緩和ケアのような特別な病棟には全く縁がなかった私だったので、そこで演奏をする事にどのような意味があるのか…不勉強な状態ながら、自分に出来る事だったら喜んで!という思いで、毎週病棟に通って歌をお届けする流れとなりました。

日本の公共施設は規制が厳しい所が多く、宗教的な音楽はNGと言われてしまう事も多々あるのですが、その病棟は医長もクリスチャンでいらした為、賛美歌大歓迎!とばかりに喜んで受け入れて下さり、私も病室の患者さんやご家族を思って祈りながら賛美を捧げる事が出来ました。

元気な患者さんからはリクエストも頂く事がよくあり、昭和歌謡にコテコテの演歌、軍歌などなど…耳にした事もない曲をその場で対応するのは骨が折れ、初めの頃は「知らない曲なのでごめんなさい」とお断りするばかりだったのですが・・・ある時、リクエスト頂いた曲を調べて練習し、次の週に持参した折にはもうその患者さんにはお聴かせ出来なかった・・という経験をしました。

以来、病棟での出会いが本当に一期一会である事、またその機会も主が与えて下さっているご計画の中にある事、私はこの出会いで福音を伝える為に遣わされている1人なのだという強い自覚を持つようになりました。

音楽は人を癒やします。そこに主が働いて下さいます。苦しそうにしていた方の顔が音楽を聴いて和らいだり、疲れ果てている方が音楽を聴いて涙を自由に流す事が出来たり…毎回その奇跡を目の前で体験する事は、どんな理屈も超えた主の臨在と癒やしを実感する時間でもありました。

例え歌っているのが賛美でなくとも、話す内容が聖書の御言葉でなくとも、伝え手が主に委ねて愛を流し出す時、万能の主はいかようにもそれらを用いて働いて下さいます。

(次回に続く)

黒澤倫子



ゴスペルベンチャーインターナショナル教会
Gospel Venture International Church (GVIC)
17811 South Western Avenue, Gardena, CA 90248 U.S.A.
www.gospelventure.com/


信仰の先輩方との学び、同年代の仲間との歩み、若者達との交わり…それぞれの世代の神の家族と過ごす信仰生活は私に沢山の霊的栄養を注いでくれました。

特に教会のユースパスター達と歳が近かった事もあり、色々な教会ミニストリーを同労者のような思いを持ってお手伝い出来た事、また彼ら献身者の歩みを間近にいつも見て学べていた事が、私の根無しの信仰が一気に揺るぎないものになっていった大きな要素かと思います。

また、教会での聖書講座の学びも受講し続けていく事で初めて、礼拝メッセージで聞くだけではない、聖書そのものを探り理解を深めていく信仰の歩みの基礎を身に付ける事が出来ました。

大きな教会という事もあり、多方面に働きが広がっている恵まれた環境下にありましたが、その中でもやはり賛美、音楽ミニストリーには深く関わらせて頂き、多くを学ぶ機会を与えられました。

単純に音楽の才能、技術の有無ではなく、生きた供え物としての賛美を捧げるべく霊的に整えられていかなければならない…その芯の部分をチームで一致して持ち続けられるよう、礼拝の賛美奉仕者は共に学ぶ機会を定期的に持っていました。そこで賛美の本質、賛美者としての責任に初めて触れ、練られ成長させて頂いたと思います。

また伝道目的のゴスペルクワイヤやコーラスミニストリーに関わらせて頂く中で、神様が私達に与えて下さった音楽が、そして歌詞からくるメッセージが沢山の人々の心を開かせ、主の愛を知り救いに導かれる光景に、文字通り数えきれないほど立ち会う恵みに預かりました。

これらは神様が私に音楽の賜物を与えて下さった流れで関わる事の出来たミニストリーですが、そこで私は音楽活動そのものには携わらず、グループ内の管理や活動の裏方を担当させて頂いていて、自分がそのような奉仕をとても好きである事、喜びを持って仕える事が出来る事に自分自身が気付いた時ともなりました。

「仕える」事が私に与えられた賜物!と主にあって胸を張れる…何という恵みでしょう!

黒澤倫子



ゴスペルベンチャーインターナショナル教会
Gospel Venture International Church (GVIC)
17811 South Western Avenue, Gardena, CA 90248 U.S.A.
www.gospelventure.com/


よちよち歩きのクリスチャンとして日本に帰国した私は、夫の次の勤務先となる栃木県で生活する事となりました。

新しい土地で人の繋がりもなく、受洗した教会からの強い勧めもあって、最初の数ヶ月は毎週東京にある教会に通いました。しかし、電車で往復数時間ずつかかるような教会生活はあっという間に疲れ果て、次第に私は教会から離れたいという思いばかりが頭に浮かぶようになりました。

海外で救われた後に日本に帰国するクリスチャン、その生存率(?)は3割に満たないと言います。聖書の種まきの例えのように、芽は出したものの、根をじっくり張って栄養をたっぷり受け取ったり、またイバラを一緒に取り除いてくれる助け手がいない種は簡単に死んでしまいます。

私も本当に危なかった…あのまま苦しい気持ちで、ただ強制的に教会に足を運んでいたら、あっという間に枯れてしまった事でしょう。少なくとも、神様がまた私を引き戻して下さるまでに相当の回り道をしていたかと思います。

しかし良いお方である主は、私にとってのベストな土壌をきちんと用意して下さっていました。

地元で集える教会を見つけたいと方針を変えた私は、ネット検索をして出てきた教会を順番に訪ねてみようと思い立ちました。そして、検索結果の最初に上がってきた教会が「峰町キリスト教会」でした。

その教会の日曜礼拝に緊張しつつ顔を出したところ、LAでの共通の知り合い、また夫の会社で働いている教会員の方、海外駐在経験のある姉妹…と、瞬く間に何かしらの繋がりがある人達を沢山紹介してもらいました。(今でこそこのような経験はクリスチャンあると分かっていますが、当時の私にはかなり衝撃で、1日にして栃木が急に身近に思える場所となりました。)

峰町キリスト教会は教会員約600人という北関東有数の大きな教会でしたが、各世代のリーダー達が沢山起され、スモールグループや各活動も大変活発な”活きた体”の教会で、芽を出したばかりの私にとっては霊的栄養たっぷりのフカフカの土壌でした。 (次回に続く)。

黒澤倫子

無事に実家に戻った後は日々仕事に追われ、充実しているようで刹那的な生活を送っていましたが、2009年結婚に伴い、夫の駐在勤務で南カリフォルニアに移り住む事となりました。

海外生活が初めてだった私は、アメリカ人の友人が欲しい&英語が話したいという動機で、英語のバイブルスタディに参加するようになりました。

毎週数人の姉妹達が自宅を訪れ、私1人に対して時間を割いて聖書を教えてくれる…どうしてこの人達はここまで私に親身になってくれるのだろう?と、その熱意に不思議な思いでいましたが、彼女達はいつも「あなたがJesusを知る事が私達の願いだから」と真剣に、時には涙ぐんで話していました。

その思いに応えたいという気持ちもあり、私自身も熱心に聖書を開くようになってしばらく、有名な”放蕩息子のたとえ”の箇所を読む機会が訪れました。

私にとってはその一文一文がまさに自分の過去を見るようで、そこで恥ずかしさと共に、忘れかけていた「赦された喜び」が今一度思い起こされたのです。

かつて母が私に示してくれた愛を通して、神様が私に個人的に示して下さっている無条件の愛が”体験”として理解出来ました。こんな私をも愛して下さるなら、素直に委ねて受け入れられたいと、心から思えたのです。以前は主に委ねる人生を歩む母を馬鹿にしていた、高慢で自己中心の私は180°変えられました。

こうして2010年秋に洗礼を受けたのですが、その際に日本から届いた母の手紙には、99匹の羊のたとえと、母が私の救いの為に10年祈りを積んでいてくれた事が書かれていました。主は祈る者に必ず応えて下さる。これほど励まされる真実はありません。

その後、日本語での聖書の学びや交わりの必要を感じ始めた私は、GVICで開かれたコンサートに訪れた事を機に、日本帰国までの1年余りをGVICでも過ごさせて頂くようになります。右も左も分からなかった幼い私を温かく迎え入れて下さったGVICの皆様には感謝の思いでいっぱいです。

そして、2012年頭に夫が栃木県へ転勤となり、日本に帰国致しました。(次回、日本での信仰生活について)

黒澤倫子



ゴスペルベンチャーインターナショナル教会
Gospel Venture International Church (GVIC)
17811 South Western Avenue, Gardena, CA 90248 U.S.A.
www.gospelventure.com/


私が初めて聖書に触れたのは、弟がキリスト教系の幼稚園に通っていた頃の事です。

彼が持ち帰ってきた子供用の聖書の物語が幼心に面白く、また時に恐ろしかったりして夢中で読みました。今でもその挿絵を思い出しているくらいですから、神様のプランは私が母の胎にある頃から始まっていたのだなぁと改めて思わされます。

その後、母が家族で初穂のクリスチャンとなり、私自身もカトリック系の高校に通った事もあって、キリスト教自体は身近なものとなりました。しかし、主により頼む母の姿は当時の私の価値観から見ると自分がなく依存的な態度に思え、”神を受け入れる事は弱い者のする事”と激しく拒否をしていました。

人間誰でも人生の失敗談があるかと思いますが、私にも思い出すのが恥ずかしい大きなつまづきの時期があります。

大学時代に文字通り”放蕩娘”に成り下がった私は、両親や友人達から受けた愛情も忘れ、絶縁の啖呵を切って家を飛び出し音信不通になる…という愚かな選択をしてしまいました。

周囲の心配通り、その選びには多くの試練があり、最終的に私は路頭に迷うか実家に助けを求めるか…というところまで追い詰められました。

この時にやっと「こんな自分勝手に離れていった子供を赦してくれるはずはない…でも謝るだけでも謝りたい。どんな扱いでもいいから戻りたい。」という気持ちが私の中で大きくなり、意を決して私は数年ぶりに実家に電話をかける事にしました。

電話口に出たのは母でした。私がぽつりぽつりと謝罪を述べると、母は一言の苦言も口にする事なく「無事で本当に良かった、すぐに家に戻っていらっしゃい」と、ただ両手を広げて私を迎え入れてくれたのです。

私の全てを無条件で赦し、受け入れてくれた母の愛の深さが私の心に刺さりました。

また、こんなにも母を悲しませ、苦しめてきた自分の愚かさ、罪深さも身に染みました。

こうして私は「赦される」という貴重な経験をして、両親の愛の下に戻る事が出来たのですが… (次回に続く)

黒澤 倫子



ゴスペルベンチャーインターナショナル教会
Gospel Venture International Church (GVIC)
17811 South Western Avenue, Gardena, CA 90248 U.S.A.
www.gospelventure.com/