前回に引き続き「よきサマリヤ人」(Good Samaritan)の譬え話を考えてみます。 イエスのこの短い隣人愛の教えは世界の教会、世界のクリスチャン、政府機関、またキリスト教と全く関係のない諸 団体に多大な影響を与えています。

グローバルに散在する多くの慈善事業団体の活動はこのイエスの短い話に源流を見ることができます。 かつての博愛の活動は同族意識、地域意識に根ざしたが今はグローバルを意識した活動に発展しています。

“貧しいから助けてやる”、“余剰があるから助ける”という旧来の援助概念から“支援する”、“参加する”という「共存、共生」(シンビオシス、synbiosis)の概念へと発展しています。 以前は届かなかった地球の裏側も、今は地球村と呼ばれるほどに手の届く小さなコミュニーティー化してきています。そのような村意識は必然的に隣人として共存共生の意識を高めていきます。 最近のハイチ、ペルーの大災害への敏速な支援活動などもその一例ではありませんか。

さて、前回はこの譬え話の外枠的なコメントを致しましたが、今回は話の内側を覗いて見たいと思います。

1) 大切な旅行医療品を与える:
 このサマリヤ人は商用か何かでエルサレムに向かう途中でした。2千年前も今も変わりませんが、旅行者は旅をするとき必要最低限の医療品を持参するものです。私が欠かさず持参する品はアスピリン、風邪薬、バセリン軟膏等です。

サマリヤ人はオリブ油とブドウ酒を持参していました。オリブ油は傷口を癒す即効薬でブドウ酒は旅の疲れを一時癒すいい回復剤でした。昼間の疲れで夜眠れない方々はよくブドウ酒を軽く召し上がってお休みになるようです。

旅行中の医療品は希少価値のあるもの、当時不便な交通機関、薬店も存在しないような環境ですから、大切なものを見知らぬ人にただで上げる訳には行かないと誰しも考えます。高価なものは代用品がなく、供給が難しく即効力のある物で、 サマリヤ人の医療品はまさしく高価そのものでした。

しかし、サマリヤ人にとっては後で使用するであろう高価なものを確保しておくりよりも、見知らぬ人であっても傷付いた人を助けることが最優先でした。これがイエスの言う隣人愛です。

2) 徹底したアフターケヤーの精神:
サマリヤ人の親切心もさることながら、彼のアフターケヤーの愛は更に深く考えさせられるものがあります。道端に横たわる傷ついた人を助け、自分のロバ(車)に乗せ、宿屋(ホテル)に案内しました。投宿して、“それでは私はここで失礼します。 どうぞ、お元気で、さよなら”、と彼はその人を後にして別れても十分な親切を尽くしたことになります。何しろ、祭司や宗教家が見知らぬ振りをしたわけですから、彼の親切心は輝いていました。

しかし、彼の親切心は尚続きます。 きっと、エルサレムで用事を済ませ、その帰りにこの宿屋に戻り、前回前払いした費用が足りなければ追加で支払いします、と申し出るのです。

2デナリは当時の2日分の日給です。休むだけの簡易宿屋であったから数日分の料金であったでしょう。 サマリヤ人の心意気はこの傷ついたた人が、完全に癒されるまで、最後まで見届けて上げてお世話するアフターケヤーのサービス精神です。  

兎角、私達の親切心は“ここまでやれば十分”、“しなくていいのにして上げた”、“知らない人までは”的な薄っぺらなものではないでしょうか。サマリヤ人が“よき”と特別に形容詞を付して呼ばれているのは単なる形容詞ではありません。 人との関わり、またビジネスの世界でもこのアフターケヤーのスピリットが徹底していれば、より一層の祝福となるでありましょう。

3)答えを持っていても未解決の人生:  
元々この譬え話はある律法学者がイエスに答えを求めたことに端を発します。その質問は “先生、何をしたら永遠の命をうけられますか”、であった。答えは

“神を愛し、自分のように自分の隣人を愛せ”、

でした。 それを具体的に説明したのがサマリヤ人の話です。イエスは話の結びに

「あなたも行って同じようにしなさい」

と答えました。果たして、答えを与えられた律法学者がそれを実行したかどうかは知る由もありませんが、もし、答えを持ちながらそれを実行しないならば、 質問をする前と全く同じ元の状態ということになります。或いは、自分の都合のいい答えが得られないから実行しないということになりませんか。無責任さが問われます。

私たちは答えを持ちながら人生を未解決のままで送りたくないものです。 しかし、現実的には多くの人が解決策を手中に握りながら、解決策のない人生のようにさ迷い歩ているように思います。

2000年前、イエスのよきサマリヤ人の話は現在も生きていて多くのことを教えられます。バウンドレスの人類愛、愛のアフターケヤー、自分で言い出したことは責任をもって実行するなど、もう一度、聖書を開いてサマリヤ人の話を読んでみたくなりました。

前原利夫


cropped-gvic_banner1.jpg
ゴスペルベンチャーインターナショナル教会
Gospel Venture International Church (GVIC)
17811 South Western Avenue, Gardena, CA 90248 U.S.A.
www.gospelventure.com/


Comments are closed.

Post Navigation